前回のコラムで、テナント工事は“ビルオーナー承認のもと”に施工すると書きました。
「工事内容が承認されないことがあるんですか?」という質問をいただきましたので説明しますね。

そう、承認されずに「この部分を変更してください」と言われることがあるのです!

店舗デザインに介入してくる関係先とは

店舗のデザインや設備が決定した時点で、図面一式を関係先にチェックしてもらうというステップがあります。

管理会社・家主(ビルのオーナー会社や、個人の大家さん)が デザインや設備のチェックをするのです。

また、マンション1階の物件の場合は、マンションの管理組合や理事会の承認も必要になってきます。

家主が神経質になるのはどんな部分でしょうか

◆外観のデザイン

・看板が大きすぎる等、周囲の環境や近隣の店舗との調和を考慮して調整してほしいと依頼が入ることがあります。

・ケバケバしい派手な色使いや奇抜なデザインは、ダメ出しをされることがあります。
特にマンション1階の場合は、品位のあるデザインを求める傾向があります。

◆壁に穴を開ける

壁面

・エアコンの配管、換気扇設置などのために外壁に穴を貫通させることには許可が必要です。

この「コア抜き」を禁止している建物もあります。

もともと建物に空いている穴ではどうしても足りない場合は、耐震壁でないことや鉄筋の位置を避けるという条件で許可を得て「コア抜き」工事を行います。

・看板の設置、エアコン室外機の設置、給湯器の設置のためにビス穴をあけることにも細かい指示をされる場合もあります。

小さな傷ですが、
「外壁のタイルには絶対に傷をつけずに、目地の部分にビス穴を開けてください」

「退去する時は目立たないように穴の補修をしてください」等、条件つきで許可されることが多いです。

◆共用部の使い方

共用部の通路にプロパンガスやエアコン室外機を設置する場合等、設置場所について協議します。

たとえば、
「エアコンの室外機の置き場所を変更してください。
前のテナントさんにはこの場所でOK出していましたが、通行時に温風が当たって不快だと苦情が出ていたので高い位置に設置してください」 という感じです。

ダメ出しされたら修正しないとダメ?

以上のように、建物の資産価値が下がるようなことや近隣とのトラブルになりそうなことはダメ出しがあります。

商業施設の場合は『デザインガイドライン』や『設計指針書』があらかじめ定められています。
個人の家主さんの場合は「図面・デザインを見て判断します」ということが多いですね。

いずれの場合も、指摘されたことは、関係先の意向に沿うように修正します。

修正することで工事費用がアップする場合、テンナト(お店を出すあなた)の負担になります。

思わぬイタイ出費に泣きたくなりますが、素直に変更するのが得策です。

これからずっと付き合っていく家主さんや近隣のテナント・住民とは良好な関係を築くことが大切!

予想しない部分で指摘があり驚くこともあると思いますが、どうしてもこだわりたい部分でない限りは、妥協案の中でベストな方法を探っていきましょう☆

不動産仲介業者や店舗デザイナーが間に立って、できるだけ低予算で最初の希望に近い形になるよう交渉していきますので、ご相談くださいね。